第三章 文化祭は脚本バトル

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『コスプレ喫茶やりたいです!女装の!』 『女装はない』 『やっぱオーソドックスに模擬店でしょ』  次々に現れるメッセージを見ているとちょっと笑える。佐古田は来週のHRで決めるっつってんのに、今そこで言ってどうすんだよお前ら。    そうやってスクロールして画面を眺めていたとき、ぽっと見慣れないアイコンのメッセージが加わった。 『クラスで一つの作品を製作するのはどうですか? 作品の形態は劇とか、映像作品とか、なんでもいいと思うんですけど、  うちのクラスには二人も凄腕作家さんがいるのですから、それを活かさない手はないと思います』 (……?)  このメッセージの発信者の名前は、「根津」。 (根津……って、誰だっけ)  顔が思い浮かぶまでにしばらく時間がかかったけど、思い出した。いつも一番後ろの席に座ってる、全然口きかないタイプの男子だ。前髪で顔が隠れていて、暗そうで、クラスで一番話しかけづらい感じの。  そんな彼がクラスのグループチャットで発言しているところを見るのも、俺は今日が初めてだった。 (にしても……)  もう一度、無口な彼が突然発したメッセージを見つめる。 『うちのクラスには二人も凄腕作家さんがいるのですから、それを活かさない手はないと思います』     
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