第三章 文化祭は脚本バトル

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 案の定、その次の週のHRの時間は大騒ぎだった。 「いや~みんなMINEで積極的に文化祭のこと考えてくれて嬉しかったけど、特に根津くんの案は最高だね! うちのクラスの小説家を文化祭に有効活用なんて、ちょー良い提案じゃねえか!! な、根津くん!!」  教壇に一人立った佐古田が張り切っている。黒板には『文化祭!!』と彼の汚い字で大きく書かれている。  そして名前を呼ばれた「根津」はと言うと、 「…………」  教室の一番後ろ、一番隅の席で、静まり返っている。というか、手元で何かの作業をしていて黒板のほうを見てすらいない。相変わらず目元は長い前髪で隠れている。 「根津くんきいてるー?」 「…………」 「ていうか根津くんも『every』の小説読んでたんだね!」 「…………」 「文化祭でなんかの作品つくるって話、もっと詳しく聞きたいんだけどー」 「…………」  佐古田の声にも反応なし。 「ちょっとちょっとー、もしクラスで劇?とか映画? とかやるんだったら、それの脚本とか原作は絶対日織ちゃんのがいいんだけど」 「あたしもー。『こいしず』みたいな話、クラスでやりたい!」  今度は女子から声があがった。     
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