第三章 文化祭は脚本バトル

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 すると佐古田もほほうと感心した。 「それ面白そうじゃん!! 投票方式ならフェアだし、どっちが勝っても恨みっこなし! クラスも盛り上がるし名案じゃね?」 「ちょっと待ったーーーーー!!!」  だだだだだだだ、と壇上にかっこ悪い感じで乱入する俺。 「その話、ちょっと、待った」  短い距離しか走ってないのに動揺して息が切れている。 「どうしたの氷河くん」  きょとんとしている咲夜。いやどうしたのじゃねえよ。 「なんでそういう大事なことを、俺抜きで決めようとしてんだよ!!」 「え~。もしかして氷河くん、私に勝てる自信ないの? 『閃光戦記』の作者なのに!」 「ぐぬぬ……!!」 (『閃光戦記』の作者はお前だろ!! 咲夜!!)  筆が速い咲夜ならともかく、『こいしず』の作者の俺は、そんな急に文化祭用の作品なんて書ける自信がない。教室での俺は『閃光戦記』という大ヒットメーカーってことになってるけど、とにかく実際はそんな大した腕の持ち主じゃないんだよ。  ぐるぐる考えていたらミキマキから文句を言われた。 「氷河が今からそんな感じなら、日織ちゃんが勝ったも同然じゃない? もう日織ちゃんが脚本でいいよおー」 「そうだそうだー! 氷河降りろー!」     
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