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第四章 作戦会議
例のHR事件から、数日が経った。
俺はというと、自宅でパソコンと向き合いながら一人呻いている。
「いやー、書けないっすね。氷河くん」
「そうですねえ、氷河くん」
俺のつぶやきに答えるのは俺しかいないので、ひたすらアホみたいに一人芝居をやっている。
「文化祭用の原稿、締め切りまであと何日だっけ?」
「二週間とちょっとですね」
「はい無理ゲー乙。何も浮かびません」
パソコンの画面は執筆ソフトを開いているが、そこに文字は一文字も書かれていない。
いきなり新作書けって言われたって無理な話だ。
今は六月の半ば。文化祭は十月にあるから、その前の八月と九月は準備期間、つまりそれまでにはクラスの出し物を何にするかを決めないといけない。七月中には脚本の決戦投票を行いたいから、今月末、すなわち六月の末までには脚本をあげてくれと佐古田に言われた。
いきなり決まったうえに、スケジュールが鬼畜すぎる。
(それもこれもあの暴走マシーン咲夜日織のせいで……!!)
脚本バトルを俺が受けると決めてしまったあと、実は咲夜は俺にだけこっそり耳打ちしてきた。
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