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「出たー!! 氷河の『俺ってば天才だから~』発言!」
「それのせいで、いつも女子から疎ましがられているようだがな」
「えー別にうざがられてなくねえ??」
いつもの会話、いつもの教室の風景。
俺はチラリ、と窓側のほうに目をやる。
教室の隅、俺たちとは遠く離れた場所では、今日も今日とて女子たちが朝からわいわい話しているのが見えた。
「なになにーなんで女子のほう見てんの?? 気になっちゃう感じ?」
「ふむ……氷河の目当てもまた、咲夜さんなのか?」
にやにやしながら茶化してくる佐古田と鈴沢をやんわり制しながら、俺はこっそりと向こうの女子集団の会話に耳を傾ける。
「日織ちゃん! 『every』で昨日更新された『恋の雫』読んだよ~!」
「まさかライバルのあの人と主人公があそこまでくっつきそうになるなんて思わなかった! 先が気になりすぎてハラハラするよ……」
「来週も続き、更新してくれるよね? 早く『こいしず』の続き読みたいー!」
はしゃぐ女子たちの中心で、一人の少女が端正な顔を崩さずに、彼女たちに向かって微笑んでいる。
「もちろん。みんなに読んでもらえて本当に嬉しいよ。来週も必ず更新するから、良かったら読んでね」
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