第一章 嘘

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「うむ、あの王子様のような外見では当たり前ともいえる」 「俺も『閃光戦記』じゃなくて『恋の雫』読んでみようかなあー?」  調子づいた声色でどついてくる佐古田に、俺はにやっとして答える。 「煽っても何も出ねーよ? つーか、『恋の雫』よりも俺の小説のほうがぜってえランキング上だし、おもしれーことに変わりはねえからな~」 「おおっ流石ランキング入り常連のユーザー様は格が違いますなあ」 「フフフ……ひれ伏したまえ、名もなき読者たちよ」  ドヤ顔したら佐古田にうぜー死ねと言われた。鈴沢は安定の冷静スルー。  このやりとり、こいつらともう何度もやってる気がする。  そのあと先生が教室に入ってきて、みんなぞろぞろと席についた。チャイムが鳴って、代り映えのないつまんねー授業が始まる。    一時間目は古文だ。 (……だりぃ)  この高校に入って、授業が面白かったことなど一度もない。適当やってたってテストの点数なんてあっさり取れるっつーの。俺頭いいから。 (それに、勉強なんかよりも)  一冊の方眼ノートをこっそり鞄から取り出す。 (小説の続き考えるほうがずっとおもしれーわ)     
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