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自分の書いてる小説の続きを、より魅力的にするために、変哲もない方眼ノートにぽつぽつとアイデアを書き込み始める。思いついた言葉だとか、これから出すキャラの原案だとか。
傍から見るとノートにメモを取っているようにしか見えないから、先生から変に目を付けられることもない。
(んんんー)
耳元の髪を指でくるくるしつつ、熟考モードに入る。さりげなく窓際のほうに視線を向けると、その先には咲夜日織。
真面目に黒板を見ながら板書をうつしている。授業中に小説のネタ出しするなんて馬鹿な真似はしませんよーみたいな、澄ました顔をして。
(…………)
あいつ、いま何考えてるんだろう。
「おい、どこ見てるんだ」
「いてっ」
気が付けば先生が俺の目の前まで来ていて、出席簿で頭を叩かれた。
俺の方眼ノートが覗き込まれる。
「氷河、授業に関係ないことをノートに書いてるんじゃない。集中しなさい」
「だからって叩くことなくねえ!?」
やべ、ばれてんじゃん。慌ててノートを手で隠した。
「まーたやってるよ氷河」
「うけるー」
教室にクスクス笑いが起こる。
「いーんですよ別に、俺は頭いいからノートとんなくても授業ついてけんの」
俺が馬鹿にしたみたいな顔をするので先生が溜息をつく。
「まったく、これで赤点取ったらただじゃおかないからな」
同時に同級生たちの小声が俺の耳に入る。
「調子こいてるねぇ氷河くん」
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