私の本棚

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客が途切れ店内には私ともう一人と店員佐藤さんだけだった。 不意に自動ドアが開き電子的な「いらっしゃいませ」の声が聞こえた。 私は気にも止めずにレジ向かいの新刊コーナーのマンガを綺麗に揃え直していた。 目の端に黒い皮靴が見えて、私は手を止めて見上げた。この店に似つかわしくない佇まいの彼が私を見下ろす。 高そうなスーツ姿の、顔もかっこいい。俳優で例えるなら、ほら、あの人……駄目だ名前が出てこない。 とにかく、その人が私に用事があるらしい。 「これの二巻ありますか?」 差し出してきたそれは今私の一押しマンガだった。 店長に絶対にお薦めだから、と注文を増やしてもらったのは私だった。 「少々お待ちください」 もしかして今日届いた荷物の中に……。 そう思って裏の倉庫へと駆けていく。 まだ検品されずに積まれた中にそれを見つけた。 「店長、この一冊だけ貰っていきますね」 そう言い残して再び足早にUターンする。
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