プロローグ

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「葉月、紹介するね。お姉ちゃんの婚約者の常盤 拓実(ときわ たくみ)さん。」 秋の気配が漂いだしたある日のこと。レストランの個室で姉の七瀬(ななせ)から結婚報告を受けた。 「初めまして。逢坂 葉月(おうさか はづき)です。」 失礼のないように笑顔で挨拶をするが下に置いた手は緊張で震えていた。 「君が、よく話に出てた七瀬の妹さんだね。スゴく可愛いね。七瀬が溺愛するのも分かるなぁ…」 「もー!拓実くん恥ずかしいじゃない!」 顔を真っ赤にして怒る七瀬に葉月は思わず小さく吹き出す。 「…どうしたの?ニコニコして。」 七瀬には吹き出した顔が微笑んだように見えたらしい。 「お姉ちゃん、幸せそうだなって。2人とも結婚おめでとう。拓実さん、姉をお願いします。」 「こちらこそ。これからよろしくね、葉月ちゃん。」 拓実の穏やかな笑顔に緊張が収まり震えが止まった。 葉月からみた拓実の第一印象は"温厚そうな人"だった。
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