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「とうとう明日だね」
「うん、そうだね」
今日はなんだか、いつもより会話が少ない。
彼女の言葉が何を示しているのか、そんなのはわざわざ考えるまでもない。
「明日もここで待ち合わせだからね」
「うん、わかった」
「絶対だよ」
「大丈夫」
「今度は、ちゃんと来てね」
「うん、必ず来るよ」
自然にお互いの手を握り合った。
だけども二人の視線は海の方に向いていた。
どんな顔をしたらいいか、わからなかった。
そして、祭り当日。
「お待たせ。待った?」
「ううん、全然」
「それじゃ、行こうか」
「うん」
祭りの会場に着いてからは、時間があっという間に過ぎ去っていく。
二人で楽しそうにはしゃいで、笑って、そして疲れて。それでもまたはしゃいで。
別に無理をしているわけじゃない。ただ純粋に、彼女といるのが楽しかった。
陽はすっかり沈み、あちこちに明かりが灯されていた。
「あ、そろそろ花火じゃない?」
「そうだったね。じゃあいこっか」
「行くって、どこに?」
「人気がなくて花火がよく見えるとこだよ」
彼女に手を引かれて、俺たちはその場から離れた。
「え、ここって……」
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