ヤクソクカノジョ。

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 お互いに見つめ合ってから、口を開く。 「ずっと、キミのことが――」 「ずっと、君のことが――」 『――好きでした』  気が付けば花火は終わり、月光が海を照らしていた。  波の音が、二人の沈黙の静けさを紛れさせる。 「あーあ、言っちゃったなぁ……」  そう、言ってしまった。  これが何を意味しているのか、もうとっくに分かっていた。 「うん……。でも、俺はまだ君と――」  まだ別れたくない。もっと一緒にいたい。  そんな感情が俺を支配する。 「――だめだよ」  彼女は言う。 「それ以上は、だめだよ。じゃないと私、もっとわがままになっちゃうから」  彼女の頬を滴が伝う。  優しい笑みを浮かべて、静かに涙を流す。 「せっかくキミに会えて、私の想いを伝えられた。もうそれだけで、十分だから」  わかっていた。  こんな関係が長く続くはずがないことは。  余計に別れがつらくなることも。  全部わかっていた。  それでも、俺はこの道を選んだ。 「それに、キミの気持ちも知れたんだから、こんなにうれしいことはないよ」 「俺だって、そうだよ」  なんでだろう、視界が歪む。  ふと、自分も涙を流していたことに気が付く。 「こらこら、男の子が泣くなんてかっこ悪いぞ」 「仕方ないだろ、だって……」  どうしよう。涙が止まらない。  顔をくしゃくしゃにして、それでも声は上げないように、必死に我慢する。 「もう、ほんとに、仕方ないなぁ」
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