0人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと目が覚めた。
まだ日は沈んでいない。
そう思って携帯の画面を見る。
「ってもう一日たってるじゃん。どんだけ寝てたんだよ……」
時刻はちょうどお昼過ぎ……って、
「まじかっ!」
彼女と会う約束をしていることを思いだして急激に意識が覚醒した。
時間までは決めていなかったが、なぜだかすごく焦っていた。
俺は急いで支度を整えて家を飛び出した。
心臓をバクバクさせながら外を走る。
こんなに走ったのはいつぶりだろう。肺が痛い。
何とか五分ほどで約束の場所につくことができた。
そこにはすでに彼女の姿が見える。白いワンピースに、黒くて長い髪。彼女だ。
「はぁっ……はぁっ……」
「あ、ちゃんと来てくれたね。ってすごい汗だけど、大丈夫?」
「ああ、うん……おまたせ。平気だよ、これくらい」
息を切らしながら、少し苦しげに答える。
「そうは見えないけど?」
そう言って彼女は面白そうに笑う。
「あはは……」
正直そんなに余裕もなかったので笑ってごまかした。
「そういえばさ……」
呼吸を整えてから、俺は再び口を開いた。
「あのときはごめん」
「なに?」
首をかしげる彼女。
「約束、守れなくてさ」
「ああ、そのことね。いいよ、もう。それに、仕方のないことだし。そもそもキミは悪くないもん」
最初のコメントを投稿しよう!