ヤクソクカノジョ。

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 海を眺めながら、彼女は言った。 「そっか……そうだよね。でも、ずっと謝りたかったんだ」 「変なの。そんなこと今までずっと気にしてたの? もう五年も経ってるのに」 「うん、まぁね……」  そんな言葉を交わして、お互いにクスクスと笑い合った。 「それで、よかったらなんだけどさ……あのとき俺に何を言おうとしてたのか教えてくれないかな?」  ずっと気になってた。彼女が俺に伝えたかったこと。  それが何なのか、知りたかった。 「んー、どうしよっかな」  そう言っていたずらな笑みを浮かべる彼女。  いったい何だというのか。 「そうだなぁ……。じゃあ、お祭りの最後に教えてあげる」  何か意味ありげな表情で彼女は言う。 「えっ? なんで?」 「なんでも。聞きたいならちゃんと私と一緒にお祭りを回ること。いい?」 「う、うん。わかったよ」  俺はとりあえずといった様子でうなずいた。 「絶対だよ? 約束だからね」 「うん。今度はちゃんと守るよ」 「よろしい。それじゃ、少し歩かない?」  それからしばらく浜辺を散歩した。  他愛もない会話をして、海の浅い場所で軽く遊んだりして。  そんなことをしながら、ゆっくりとした時間を二人で過ごした。  気が付けば陽は海に沈みかけ、空は茜色に染まっていた。 「もうこんな時間……」  彼女がぽつりと呟く。どことなく残念そうだ。 「そうだね……」  この景色を見ていると、なぜだか急に寂しさを感じる。 「明日も会える?」 「もちろん」  俺は即答する。 「それじゃ、今日はもう帰ろっか。明日もまた同じ時間にここにきて」 「わかったよ。それじゃあ、また」 「うん、また明日」  お互いにそう告げてから、俺と彼女は別れて家に帰った。
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