第1章 春

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あなたとの日々にタイトルをつけるとしたら、私はなんてつけるのだろうか。 中学三年、卒業。 皆進路も決まり、新しい高校の友達をSNSにて作る。 そんな時代。 たくさんの人と話して、高校に対する不安を抱えて新学期を待つ。 そして春はやってくる。 入学式。雨。 真新しい制服に水を滴らせて、色とりどりの傘は集まる。 私は遅刻ギリギリに着いた。 一番端の席に座って、よく分からない儀式を終えると、ざっと校内を一周して1年間お世話になる教室へとたどり着く。 一人一人が席に着き、緊張の面持ちで新担任の話を真剣に聞く。 苦手だ。この雰囲気。真面目すぎる。周りはみんな静かな女子ばかり。男子も男子で何も喋らない。 初日だしこんなもんか。 そう思って私も大人しく過ごした。つまらない1日だった。 入学式から3日ほどたって、みんなも随分緊張がほぐれてきた。 私も周りの女の子たちと仲良くなり、グループができたりした。 男子の中に1人地元が同じ人がいたので、その人を中心に仲良くなったりもした。 昼休み。 昼食を終えて友達とトイレに行く途中。 よくわからない男子に話しかけられた。 坊主の男の子とそのとりまき。 「名前聞いていいですか?」 控えめに聞いてきた男の子。 「野田美央です」 私も答える。そしたらとりまきの1人が 「俺もこの人知ってる!」 え、なに。怖い。というか失礼でしょ。本人前にこの人って。ガラ悪。絶対無理。 そうは思いつつ、お互いよろしくと言いながら愛想よく去っていった。 夜になった。 何件か通知が来ている。めんどうだ。SNSを開いた瞬間一件また通知が来た。名前を見てみると、怜と言うらしい。 『今日話しかけたけど覚えてる?』 トプ画を確認。あ、昼間の失礼な人だ。 『覚えてるよー!よろしくね』 その後会話は止まらず、彼の色々な話を聞けた。 彼のクラスは私のクラスの隣であること、元々行っていた中学のこと、好きな音楽のことや、恋の話。 話していて楽しかったので、昼間の件は水に流してあげよう。そう思った。
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