13人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
二人はそのまま校内を歩いていた。先を進んでいるのは大輝だ。
「結局、ガス室には入れずじまいか……」
「まあ、でも良かったじゃないか。あれが一体何のために作られたのかは分かった訳だし」
「俺が求めてるのは、そんなもんじゃねえよ……」
大輝は、階段を昇っていく。
「おい、下駄箱はあっちだぞ?」
「だれが帰るって言ったよ」
「は?」
大輝は、二階を見上げながら言った。
「こうなったら、調べられるだけ調べる。何としても異世界の扉は見つけるんだ」
「はあ?」
拓海は目を丸くして大輝を見た。
「何だよその顔は。今日は最初からそのために来たんだろうが」
この時、拓海は自分が考え違いをしている事に気づいた。大輝は、ガス管理室について聞く口実として異世界の話をしているのではなく、本当に単純に異世界の扉を見つけたいだけだったのだ。
「よし、行くぞ!まずは三階の倉庫からだ!うおおおおお!」
勢いをつけて階段を駆け上がる大輝を後ろから眺めながら、拓海は確信した。
……こいつ、アホだ。
最初のコメントを投稿しよう!