第3章 夜の学校とガス管理室

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「あはははは!なにそれウケるー!」 「笑いごとじゃねえよ、ったく」  ハワイ帰りの綾乃から電話があったのは夕方だった。 「ヤバいね!ムッシュ完全に俺チートの虜だね!」 「学校中連れ回された挙句、牧に見つかって説教だぜ。最悪だよ本当」 「牧!牧!?うわー災難じゃん!」 「お前たち、何やってんの?遊んでんの?ここは遊びに来る場所じゃないよ?知ってる?」 「似てる!チョー似てる拓海!」  電話口で綾乃はゲラゲラ笑う。 「……お前、テンション高いな」 「久しぶりに拓海と話すんだから、当たり前だよー!」  そう言ってくれるのは嬉しいが、向こうは海外旅行帰りである。 「今日もこれからムッシュと会うんでしょ?私も行きたいなー」 「馬鹿。お前は今日はちゃんと休め」 「えー、大丈夫だよー」 「それで明日風邪引いて会えませんって言ってみろ。ぶっ殺すぞ」 「出た、ぶっ殺す!拓海のぶっ殺すは怖くないからなあ」 「そういう問題じゃない」  拓海としては、明日二人っきりで綾乃と会うのが楽しみなのだ。彼女を訳の分からないごっこ遊び(あのバカはそう思ってないようだが……)に付き合わせるのは本意じゃない。 「へへへ……でもまー、分かったよ。今日はおとなしくする」 「明日、ハワイの話いっぱい聞かせろな」 「はいよー」  通話は15分ほどで終わった。楽しい時間の後は、大輝と悪夢の第二章が待ち受けていた。
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