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「あはははは!なにそれウケるー!」
「笑いごとじゃねえよ、ったく」
ハワイ帰りの綾乃から電話があったのは夕方だった。
「ヤバいね!ムッシュ完全に俺チートの虜だね!」
「学校中連れ回された挙句、牧に見つかって説教だぜ。最悪だよ本当」
「牧!牧!?うわー災難じゃん!」
「お前たち、何やってんの?遊んでんの?ここは遊びに来る場所じゃないよ?知ってる?」
「似てる!チョー似てる拓海!」
電話口で綾乃はゲラゲラ笑う。
「……お前、テンション高いな」
「久しぶりに拓海と話すんだから、当たり前だよー!」
そう言ってくれるのは嬉しいが、向こうは海外旅行帰りである。
「今日もこれからムッシュと会うんでしょ?私も行きたいなー」
「馬鹿。お前は今日はちゃんと休め」
「えー、大丈夫だよー」
「それで明日風邪引いて会えませんって言ってみろ。ぶっ殺すぞ」
「出た、ぶっ殺す!拓海のぶっ殺すは怖くないからなあ」
「そういう問題じゃない」
拓海としては、明日二人っきりで綾乃と会うのが楽しみなのだ。彼女を訳の分からないごっこ遊び(あのバカはそう思ってないようだが……)に付き合わせるのは本意じゃない。
「へへへ……でもまー、分かったよ。今日はおとなしくする」
「明日、ハワイの話いっぱい聞かせろな」
「はいよー」
通話は15分ほどで終わった。楽しい時間の後は、大輝と悪夢の第二章が待ち受けていた。
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