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目の前でたくさんの本が、飛んでいる。
ふわふわのんびり浮いているものもあれば、勢いよく飛び回る本もあった。
「あー、えっと……捕まえる?」
今までたくさんのことを経験してきたと思ってた。
ある程度のファンタジーもいろいろ読んできて、いつか私も不思議な世界に引き込まれたらなぁ、なんて考えたこともあった。
だからこそ、越してきたばかりの街の早朝散歩で、何か素敵な出会いをなんて、柄にもないことをしてしまったからなのか。
夢であってほしいと願うばかりの現実は、刻々と現実から離れていく。
朝早くから開いてるなんて珍しいなと、足を踏み入れた “ユメの書店” という、古ぼけた看板が掲げられた本屋さん。
扉を開けた瞬間にそんな光景が広がっていたから、思わずそっと扉を閉めて、見なかったことにしようとした。
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