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歩みを進める男を避けるように、それでも飛び回る本。
その不思議な光景に、やっぱり私は足を止め、見入ることしかできないでいた。
さっきの態度は癪だけど、男の言うように私は寝ぼけているのかもしれない。
「ねぇ、入んないの? 本が日に焼けちゃうから、早く閉めてくれない?」
「え? だって本が空を」
「え? 何だって?」
「本が空を飛んでるじゃない」
「おぉーーーー! 君には見えるのか、そうかそうか、さぁ入りたまえ」
演技かかった態度で、私の手を引き店の中へ、私も一緒に足を踏み入れた。
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