29(承前)

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 タツオが現地に到着したのは、ちょうどスリープモードの解除設定時刻と同じ6分後だった。風穴に入りこんでからの距離は約400メートル、長く折れ曲がった狭い坂道をおりると、先がいきなり開け、巨大な地底のホールとなっていた。ここでなら待ち伏せに恰好の立地だ。戦闘ロボット一機が通り抜けるのがやっとの地下通路から顔を覗(のぞ)かせた敵を狙い撃ちできる。  天井の高さが優に30メートルほどはある広いホールの奥は、切り立った崖となっていた。その縁には先行していた4機の自走式4脚戦闘ロボットが集合している。そのあたりだけサーチライトで昼のように明るかった。タツオは崖の端までロボットを自走させ、急停止するとコックピットを跳びだした。
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