29(承前)

3/10
前へ
/10ページ
次へ
 サイコ、テル、クニ、マルミの4人が不安げに崖の下を覗きこんでいた。 「その後の状況は?」  誰にともなく質問する。マルミが悲鳴のような声でいった。 「ジョージくんに引き続き呼びかけを続けているけど、返事はない。戦闘ロボットの所在を示すビーコンも届いてない。消息不明のままなの」  ひどく背中に汗をかきながら、タツオの頭になぜかMIAという言葉が浮かんだ。ミッシング・イン・アクション。戦闘中行方不明の略だ。こちらはMIEということになるのだろうか。ミッシング・イン・エクササイズ。戦闘訓練はコンバット・エクササイズである。震えが止まらないほど緊張しているのに、頭はおかしなことを考えるものだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加