本屋さん

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そこからは僕のことが沢山書かれていた。加奈恵は僕のことで頭がいっぱいのようだ。 何度か告白もされたみたいだが全部断っているらしい。彼氏ができないのは出来ないんじゃなくて、僕がいるから作れなかったのか。 僕は加奈恵の人生を見てとても幸せな気持ちになった。 言葉では表せられないような頭の中身が全てここに記されているようだった。 そして僕は見つけた。 僕が加奈恵に告白された日の頁を。 「加奈恵……。」 加奈恵は少し悩んだそうだ。僕が嘘をついているんじゃないかとか、もしかしたら本当だったんじゃないかとか。 暫く悩んだけれど、僕から話しかけることもなくなり、なんだかんだで有耶無耶になってしまい加奈恵からも話しかけなくなる。 「加奈恵に、しんどい思いさせてしまってたんだな……。」 僕の身勝手な理由で告白したことは、加奈恵をとても傷付けてしまう結果となった。 そして僕達はこの先、遊ぶことも会うこともなくなるのか……。 「僕、早とちりなことしてしまったかなあ。」 僕は加奈恵のその先の未来が気になった。 僕は次の頁を捲る。しかし加奈恵の頁は次で終わってしまっていた。 あれっと不思議に思った。 しかし読んでいくにつれてそれがどういうことか理解した。 加奈恵は、高校を卒業して間もなく事故にあう。 加奈恵は入社式へ向かう途中、運転手が心臓発作を起こした大型トラックの事故に巻き込まれてそのまま命を落とす。 そこで加奈恵の人生は終わっていた。 「なん……で……。」 それはあとたったの八ヶ月ほど先の出来事だ。 加奈恵の命が、あと八ヶ月で終わる。 「そんな、嘘だ……嘘だ!加奈恵が……僕より先に死ぬなんて!!」 僕は本棚に並べられた本を無造作に放り出し投げた。無我夢中でその本を引っ張り出し、時にはビリっと裂ける音も聞こえた。それでも僕は構わず本棚を荒らした。 漸く落ち着きを取り戻し、僕の息切れだけが響く部屋の中おばあちゃんはまだにこにこしながら僕を眺めていた。 「なにが……何がそんなに楽しいんだよクソババア!人が死ぬのがそんなに嬉しいか!好きな人がもう死ぬってわかって絶望する姿がそんなに楽しいか!」 僕はおばあちゃんに怒鳴り散らした。自分の名前が書かれた本を投げつけた。 それでもおばあちゃんはニコニコと微笑んだ。
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