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光を宿したような刺繍で縁取られたそれらは、シンプルなのに煌びやかで。
こんな田舎ではとんと見る機会がないことは一目瞭然だった。
二人の男は大股で歩き出す。
神父がそれに気が付いて駆け寄った。
ソフィーは何か金縛りにあったように、その場に立ち尽くしてしまう。
あれは、いや、あの方はもしや、、、、
すると、神父が此方を見た。それに続いて、二人もソフィーを見た。
そして、目が、合った。
ソフィーが硬直し続ける中、グレーがかったダークブロンドの柔らかな髪の男が、ソフィーに向かって直進してきた。
彼は、目の前で止まると、色素の薄い瞳で、ソフィーを見下ろした。
「おいっ、テオ、落ち着けよ」
後ろから、長髪の男が追いかけてきている。
…テオ?
「…目も鼻も耳もあるな?」
テオと呼ばれた男が、そう言った。
ソフィーは突然の事に、自分に話しかけられたのか、それとも彼の独り言なのか判断がつかず、どうにも返答をしかねた。
「…しゃべれない、とか?」
綺麗な顔で、ソフィーの顔をのぞき込むものだから、ソフィーはおもいっきり顔を横に振った。
「いいえ!」
途端、男は可笑しそうに笑みをこぼした。
その笑顔がまぶしすぎたらしい。ソフィーは目がちかちかした。
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