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「ロコ、これから出かけるんだ。その人と遊ぶのは後」
そう侯爵に言われて、ロコはこくん、と頷くとヴォアの中へと入っていった。
「どうもうちのロコは、仕事はできるんだが、遊んでくれそうな人を見ると、遊びたがるんだよな。」
そう侯爵がため息交じりに呟いた。
ヴォアの外装も素晴らしかったが、内装も煌びやかだった。
好きな所へ座って、と促された先にはふかふかの椅子があって、ソフィーは落ち着かない気持ちでその椅子の端っこに座った。その隣に侯爵が座り、目の前には長髪の男性が。
「そういえば、紹介がまだだったよな? 彼はディアン。幼馴染なんだ」
そう侯爵が言うと、長髪のディアンは、いやいや、と手を顔の前で振った。
「ただの、お側付き、ってやつさ。俺は貴族様じゃないんでね」
ディアンはそう大きな口をニイッとして、意味ありげに笑った。
身体も大きいが、声も大きい。褐色に灼けた肌に、銅色の髪、ヒスイ色の瞳。
「…ディアンさんは、どこのご出身ですか?」
そうソフィーが尋ねると、ディアンは愉快そうに笑った。
「気になった?そりゃ気になるよな~!こんなナリだもんな。
俺の生まれはオーベル=バリアンさ。でも、両親はロロルナの出身なんだ」
「ロロルナ・・!行ったことあるんですか?」
「あるぜ~~。いいところだよロロルナは。あそこは…」
「ストップ」
意気揚々と話し始めたディアンを遮ったのはテーオドル侯爵だった。
「ソフィー、なんでディアン?俺には興味ないの?
俺はソフィーに興味あるんだけど」
至極真剣に、隣からテーオドル侯爵が顔をのぞき込んできて、ソフィーはまごまごした。
向かいの席で、ディアンが「この人ヤキモチ妬きだから気を付けたほうがいいぜ~」と豪快に笑った。
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