act 1  瑠璃色のひとみ

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 「よろしい。では、後日使者の者がお迎えに上がります。   ご準備をなさっていてください。それまでの注意すべき事柄はこちらに」  「はい。遠いところありがとうございました」  飾り気のない紙を受け取り、彼女が微笑むと、紳士はまた頭をふってため息をついた。それは彼の癖なのかもしれなかった。  「………今なら引き返せるでしょう。   ……御心変わりはありませんか?」    ソフィーは微笑んだ。  「ありませんわ。」  紳士は小さく頭をさげ、立ち上がった。そして、シルクハットを深く被った。  ソフィーも立ち上がり、ドアを開けた。  彼女は外まで見送ろうとしたのだが、紳士は「一人で戻れますので、ここで結構」と足早に去っていってしまった。   そして、紳士の靴が石の床を鳴らす音が完全に聞こえなくなった時、ソフィーはほうっと一つ、大きく息を吐いた。  朝から、慌ただしい一日だった。  朝食の席での突然の来訪者。  見慣れぬ出で立ちのその人は、装飾の無い衣装ながらも、高貴さがにじみ出ていた。  しかし、初めは神父さんと話しをしていたから、まさか自分に用があるなんて思いもしなかったが。     
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