act 1  瑠璃色のひとみ

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 「昨日の続き読んでもらおうと思ってー」  「勉強は?終わった?」  「もちろん!」  三つ編みのミニーが開いた本を受け取って、ソフィーはベッドへと移動した。それに続いて、クラシカとジェシーもソフィーの両隣に座ってわくわく顔だ。    「どれどれ…、ええと、どこからだった?」  「ここ!女神様がやってくるの…」  少し怯えたようにそう言ったクラシカに、ソフィーは優しく笑いかけた。  「大丈夫、女神様、ほんとうは怖くないのよ?」  「ほんとう?」  「ええ!たしかに、寝返りをうてば大波がきて、背伸びをすれば、河は氾濫するわ。でも、女神様も、そのたびに大変な思いをしている村の人々をほうっておけなくなったの。  女神は言った。  「だれか、私の元で暮らさないか。お前たちに近い者がいて、私を諫めてくれれば、私も気を付けるようになるだろう。」  村人は顔を見合わせた。それは大変ありがたいお話だったが、だれが女神を諫められるだろうか。そんな事をして、罰があたったらどうしようか。  その中で、一人の青年が名乗りを上げた。「私がいきます」  女神は喜んで青年を迎えた。  青年と女神はすぐに仲良くなった。  女神が寝返りを打っても大丈夫なところに、青年は女神の寝所を作った。  これ以上湖が増えてしまってはいけないと、女神が腰をおろす場所を決めることにした。  でも、失敗することもあった。  そのたびに、青年は村へ行き、大波がくるから逃げてくれ、と、大雨が降るから気を付けてくれ、と大声で伝えた。  しかし、思うように村人へ青年の声は伝わらなかった。  青年は毎回、辛い思いで、水に村が飲まれる様子を女神の宮殿から見つめていた。  そのとき、女神が言った。  「そなたに、女神の眷族である証を授けよう」    本の次のページには見開きで、綺麗な細工のある円盤の絵が描いてあった。  それを見て、ミニーが「あ!これ!見たことある!」と叫んだ。  「そう。ねぇ、どこで見た?」  ソフィーは本を一旦膝の上に置くと、三人を見渡した。      
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