act 1  瑠璃色のひとみ

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 ソフィーを見上げているその小さな顔は、どこか不安げだ。  クラシカは人一倍寂しがりやだから、一人女神の元へと行き、女神とずっと二人っきりな青年の事を考えて、何か不安な気持ちになったのかもしれない。  すると、つられて、二人も少し暗い表情になった。    3人は孤児だった。  事情は様々だが、親が育てられない為、教会で暮らしていた。  いつも元気なミニーに、寂しがりやのクラシカ。好奇心旺盛のジェシー。  他にも男の子が二人。トニーとロン。  小さい頃は皆一緒に遊んでいたのに、最近は男の子グループと女の子グループに分かれるようになってきたのが微笑ましい。  それでも、ソフィーはお姉さん代わりとして、皆にはだいぶ懐かれていた。  自分の使命ができた事は喜ばしいが、  この子供たちを置いて王都へ行こうとしていることに、  ソフィーは少し、後ろ髪を引かれる思いになった。    だから、彼女はとびきりの笑顔を作ると言った。  「いいえ。今は王族の方が女神様と一緒にいらっしゃるの!交代でね。   だからほら、今日もラ=デラ=チッタは素敵な一日だったでしょう?」  そうソフィーが言うと、3人は顔を見合わせて、笑顔になった。
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