2.信号機

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翌日、学校から帰ると既に帰宅していた次男が頬杖を突きながらニュースを見ていた。 高校生と大学生では起床時間にかなりのズレがある。だから、朝は次男を見かけることがなかった。実質、この日初めて会ったといえる。 なんとなく気まずくて声をかけられずにいたら、次男の方から口を開いてきた。 「おかえり、ハル」 「……ただいま、冬兄さん」 「さっきな、事故が遭ったらしい」 次男に促されて、ニュースの内容に意識を向ける。 兄の言うように、たった今、交通事故が起こったところらしい。信号待ちをしていたはずの女の子が道路に飛び出し、トラックに轢かれたのだという。 その現場の名前に、僕は凍りついた。 それは、僕が帰宅途中によく寄る本屋の、目の前の横断歩道だったのだ. 愕然としていると、次男がゆっくりこちらを見た。 そして、心から嬉しそうにこう言った。 「良かったな、助かって」 それは、あの夢で聞いたものと、全く同じだった。
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