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とその時、買い物に行っていた次男が帰ってきた。
「何だ夏樹、うるさいぞ。少し黙れ」
顔の覗かせた次男が、心底煩わしそうに顔を歪める。
「あっれ俺だけ!? 毎回俺にだけ冷たすぎない!?」
「気のせいだろ。……で、何の話をしてたんだ?」
「ああ、それがさ……」
まだ不満そうにギャンギャン吠える長男を無視して、僕は例の女の人の話をしてやる。次男もそのことは覚えていたようで、すぐに話題に乗っかってきた。
「ああ、そのことか。二人共覚えてたんだな。おかしな人だとは思ってたんだよ」
「あれをおかしな人で片づけられるお前がスゲーわ」
「……? あ、そうだ」
次男は心底不思議そうに首を傾げたが、ぱっと笑って、何かを思い出したかのように、手を叩いた。
「その女の人、だけどな」
「さっき、玄関に立ってたぞ」
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