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それから1週間後。私はさっそく店をオープンし、自慢のコーヒーを煎れて客を待ちました。
すぐに客が来ないことは想定内です。世の中そんなに甘いものではありません。
私は会社員時代とは違うゆっくりと流れる時間に身をゆだねながら、店を少しずつ自分好みにリフォームしていくつもりでした。
お店を始めて数日が経過した時、東さんが客として来店しました。手には表紙のない小説が握られ、私の煎れたコーヒーをすすりながら読書を楽しんでいました。
「美味しいコーヒーだね」いつも険しい顔をしている東さんはニコッと笑いながら話しかけてきました。
「ありがとうございます!」
「お店の調子はどうかね?」
「まだまだ全然暇です」私は笑いながら返答しました。
「そうかい・・・・・・君はまだ若いから、時間を気にせずにゆっくりとやっていけばいいよ」
「ありがとうございます」
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