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「ヌマクラぁ!」
僕の叫びは、続いて伸びてきた触手の衝撃で打ち消された。
砂を突き破って垂直に伸びる硬質な鎖は、僕のブーツの底を撫でて天を突く。
「くそ……!」
次弾装填、狙いを定めようとした足元から再び異様な揺れ。
鎖は風になびくように不規則に揺れながら、次第に僕の回りを取り囲んでいく。
掌から汗が吹き出して、銃をうまく握れない。
死んだ?
まさか。
ピンチの時はイブがいる。
あの魔法なら、絶対に死なない。
死なないはずだ。
「イブ……!」
バランスを崩した体が、前に傾ぐ。
急いで体勢を整えようとして踏み出した足が空回りをして。
「え、」
いつの間にか、流砂の中まで移動していた。
触手が、僕の進行方向を誘導していたんだ。
見下ろすと、目の前には巨大な口があった。
口の中は暗くて良く見えない。
三角形の歯は外皮と同じ鉛色をしていて、どこか無機質だった。
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