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思いも寄ら無かった事はまだ有る。
卒業してすぐに卓の方から誘いの連絡が有った事。
好きだから動揺はしたものの、
卓も、ひょっとして俺の事を?
なんて事は微塵にも思わなかった。何故なら、卓はゲイでは無いし、始めてしたセックスでも気持ちの繋がりみたいなものは無いと、虚しくなる程痛感していた。
ただ快楽の為だけの行為……。
それでも卓に誘われた嬉しさもあって即答。
2人で飲みに出た。
そしてそのまま、当たり前の様にラブホに入ってセックス。
あれからもう2年半。卓を抱けて一緒に過ごせただけでも充分じゃないか。
ここ何回かの卓、アッサリした態度の割にやってる途中の身体の火照り具合にも感じ方にも俺は勘違いしそうだった。
卓から線を引かれて、良かったのかも知れない。
潮時。
卓の顔を見れる程俺に余裕は無くて。
背を向けたまま、ホテルを後にした。
顔も見ずなんて冷たく思われたかな……
いや、そんな事考えもしないだろ。
何度目かのセックスで、俺は1度だけ卓に聞いた事があった。
「お前、意味無く俺に抱かれるだけでいーの?」
期待して無かったけど少しだけカマをかけるつもりで……そう、聞いた。
その返答はアッサリとしたもんだった。
そして予想以上に俺の胸ん中にグッサリ刺さる。
「カラダ重ねんのに意味必要?
気持ち良ければいーじゃん。」
涙こそ出なかったけど、気持ちは悲鳴をあげてた。
卓に対しての裏切りの様な辛さを抱えながらも、身体を重ね続けたのは、自分の弱さだ。
でも、もう最後。
呆気ない事を辛く思うな。
俺は初めから卓のセフレだから。
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