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行き場の無い気持ちを、抱えたままでは時が過ぎても
風化なんてしやしない。
090-……
消された連絡先、でもケータイ番号は覚えていた。
休日出勤した土曜の会社帰りにiPhoneを握りしめ
液晶を眺めた。
卓と会うのは大体が翌日休みの土曜。
まだ一カ月だし、仕事に慣れてないかもしれない。
グズグズ考えてたら結局最寄り駅の裏手まで辿り着いてしまった。
「あ」
……卓!?
ラブホが並ぶ路地へとガタイの良い"男"に肩を抱かれて歩いて居たのは紛れもなく卓だった。
卓…な、何やってんだ?
カッアーーッと頭に血が上り、何も考えずに駆け寄ると
卓の手を引っ張った。
「てった?!」
「おま、何してんだよ」
男から剥がし、ズルズルと引っ張ってその場から立ち去る。男が何か言ってたけど余裕無くて全然耳に入って来なかった。
「い、いてーよ!引っ張んな」
卓を掴んだ手が熱い。
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