声の温度 濱田卓

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本当に嫌なら抵抗出来たけど、引かれた手を振りほどく事なくラブホに直行。 そのままベッドへ乱暴に、投げ飛ばされた。 こんなんされても…… 哲太がやっぱり好きだ。 「盛ってんじゃねーよ……」 久々に会えて嬉しいのと、恥ずかしいので目を合わせられず、俺は哲太にそう言った。 哲太はネクタイを緩め俺の上に跨る。 また?このまま流されていーのか? ダラダラとした関係も胸の苦しさも一カ月前に捨てたハズなのに、哲太を前にして俺はまただらし無く心を許してしまう。 「いくらで寝るつもりだった?それともまさか彼氏?」 冷ややかな言葉に耳を疑った。 同時に怒りがこみ上げて来る。 終いには財布から金を取り出そうとするので怒りの余り哲太の腹を足で蹴っ飛ばした。 鈍い音と共にベッドから転げ落ちる哲太。 ザマァミロ。俺を何だと思ってんだ。 「こんなヤツ、俺の好きになったヤツじゃ無い」 「え?」 ………
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