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季節は速度を落とさず進んでいき5月も後半に。高校初めての中間考査の結果はまあまあだった。
まだいうか、と思われそうだけど高校は第二志望だからね。それなりの成績は出せる。引き換え、机に倒れこんでるこの子はというと。
「いくつあるの?」
人差し指、中指、薬指を立ててるから赤点は三つらしい。ルナは勉強が苦手。というか興味のないことに対して頑張る力がない。
けどさ、学生なんだし勉強頑張ろうよ。
「入学早々サボったくせに…」
「そんな古い話は忘れましたー」
あれ以来私たちは一度も屋上へ行ってないし授業もサボっていない(LINEは見逃して)
外を見るとうす曇り。そろそろ梅雨になる。晴天や星空がお預けになる一年で一番憂鬱な時季だと言ってた。私もルナと出会ってから空に興味を持った。ぼんやり眺めると意外と面白い。雲1つない晴天よりもある程度の雲があってそれが風で流れていく様が私好み。
「補習か…嫌だよ~、空に逃げたい~」
「スペースシャトルで宇宙に逃げる?」
「出来るならお願いします…」
「大丈夫だよ、補習は普段より難しくないから」
「受けたことないくせに!」
「私は、ね。兄が赤点の常連でそう言ってた」
お兄ちゃんはテスト=赤点、の人だった。そうなりたくないと勉強を頑張る大きな理由になってくれたからある意味感謝なんてしちゃってる。
「逃げても校内放送と教師みんなで探すって脅されてるし、行ってくるよ…」
「うん、頑張れ。そんな死にそうな顔しないで!」
「では、地獄へ行ってまいります…」
とぼとぼ、どんより、そんな言葉が当てはまる後ろ姿で今度からテスト前には一緒に勉強してあげようと思った。ルナからは空のこと教えてもらったから私は平凡だけど勉強くらい教えて恩返ししたい。
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