8.クリスマスプレゼント

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8.クリスマスプレゼント

その日の朝、目が覚めると、枕元に女のものと思われる足が転がっていた。 何でこんなものがと思ったが、どうやら長男には見えないようなので、安心してゴミに出す。 翌年の朝、今度は裸の胴体が転がっていた。 服くらい着させてやれば良いのにと思いながら、またゴミに出す。 その翌年は腕だった。 赤いマネキュアで爪を染めたそれを、いつものようにゴミ袋に入れる。 「――このままいけば今年は頭が来ると思うんだが、どう思う?」 俺の問いに、幼馴染はどうでも良さそうに「ふーん」と答え、友人は呆れたように苦笑いした。 「冬樹ちゃんのそういうところが、怖いよねぇ・・・。いや、そんなとこが好きでもあるんだけどさ」 「怖い? 何がだ?」 聞き返すと、また苦笑い。 「ていうか、それでわざわざ僕達を家に呼んだの?一緒にどうなるか見たいからって?」 幼馴染が気だるげに言う。 「ああ! 一緒に確かめよう!」 「折角のクリスマスを、野郎三人で過ごす羽目になった僕の心情も察しろよ」 「どうせ彼女も居ないんだし良いだろう?」 「死ね!」 何故か枕を投げつけられてしまった。それを見て、友人がカラカラと笑う。 「まあまあ五色ちゃん。折角のお泊りなんだし、カリカリしないの」 「そのお泊りって言い方やめろ、気持ち悪ぃ」 「酷い! ・・・それに、どうせオールするんだしさぁ」 友人は持ち込んできた鞄からゲーム機を取り出し、悪戯っぽく笑った。 「――遊んだ方が、楽しいでしょ?」 その瞬間は、思っていたよりも早く来た。 ゲーム対戦に夢中になっていると、背後で「ドサリ」と重い音がしたのだ。 振り返って落ちてきたものを確認した俺達は、揃って複雑な表情で顔を見合わせる。 「頭・・・だね」と友人。 「間違ってはないね」と幼馴染。 「でも、予想外だな」と俺。 バラバラになって脳髄と血液を垂れ流している頭だったものに、俺達三人は、暫く唖然としていた。
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