2.さんちちょくそう

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「えええええええ、めちゃくちゃ美味しいじゃん!」 ステーキを頬張り、幼馴染が目を輝かせる。 「あはは、ありがとう」 「お前、料理上手いもんな。シェフにでもなれば良いのに」 「兄弟以外に料理を作る気は微塵も湧かないなぁ」 「このブラコンが」 悪態を吐きながらも、幼馴染がステーキを口に運ぶスピードは変わらない。どうやらお気に召したようだ。俺自身も勿論味わっていたのだが、なかなか美味しくできたと思う。 「あいつらも薄情だね、こんなに美味しいのに食べないなんて」 「まあ、そういう気分じゃ無かったんだろ」 「贅沢者め・・・。ところで、さ」 付け合せの人参やポテトまでも綺麗に平らげながら、幼馴染は不思議そうな顔で尋ねてきた。 「今更だけど、これ、何の肉なの? あまり食べたことが無い味がするんだけど」 「ああ、それが俺にもよくわからないんだ。ただ、産地だけは書かれていてな」 肉を頬張りつつ、包み紙にひらがなで書かれていた文章を思い出す。 「『静岡産です』、だそうだ」 その時、何か固いものを噛んだ。 幼馴染もそうだったようで、苦い顔をする。 二人で口の中の異物を取り出すと、それはよく見なれたものだった。 薄紅色の、小さな板。 「・・・爪だな」 「・・・爪だね」 「そういうことか」 「そういうことだね」 俺達は小さく頷きあうと、それを近くのゴミ箱に投げ捨て。 また、肉片を口に運ぶのだった。
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