2.ドライブ

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2.ドライブ

え? 昨日の夜、冬樹とどこに行ったのかって? ドライブだよ、ドライブ。冬樹に運転頼んだんだ。五色と錦も誘ってさ。あ? 何で俺達じゃないのかって? シュウはともかく、ハルは深夜に連れ出せないだろ。まだ高校生なんだし。 ・・・え? なんか、元気がないって? あー・・・。ちょっと、色々あってさー。 ・・・良かったら、ちょっと聞いてくんない? 昨日な、運転の途中で冬樹が、「眠い」って言いだしたんだよね。ほら、アイツ眠気に弱いじゃん? で、ちょっと仮眠取るって言って、車止めたんだ。 でもその場所が、墓地の真ん前だったんだよ。 しかもよりによって、結構その筋では有名な場所。 いや、勿論抗議したよ? でもアイツ、話を聞かないでさっさと寝ちまいやがってさ。無理に起こすとめちゃくちゃ不機嫌になるだろうし――あれはもう鬼だよな――かといって俺と錦は免許持ってないし、五色に運転させるとあやうく三途の川が見えるから、嫌々冬樹が起きるのを待つことにしたんだ。 深夜の、墓地の前で。 それから、どれくらい経った頃かな。それまで不気味なくらい静かだったのに、ふいに辺りが騒がしくなってきたんだよね。 最初は何事かと思ってビビってたんだけど、どうやらそれは、ガキ達の声みたいでさ。 車の中からそっと外を覗いてみたら、なんかいかにも頭の悪そうなやつらが、ギャーギャー騒ぎながら墓地から出くるところだったんだよ。 たぶんあれ、肝試ししてたんだろうな。高校生くらいの男女数人だった。もう、本当にうるさくてさ。冬樹が起きたらどうすんだよ! 被害に遭うのは俺なんだぞ? って、一人キレてた。五色はスマホをいじってたし、錦は一心不乱にドーナツむさぼってたけどな。肝座りすぎだろ、アイツら。 幸い、冬樹はすぐに起きなかったんだけどさ。どうかさっさとどこかに行ってくれと思いながら、そっと様子をうかがってたんだよ。そしたらさ、 あいつら、こともあろうか墓石を蹴りやがった。 流石に引いたね、ありゃあ。しかも、何個も蹴ってたんだよ。 警察に通報するべきか迷ってたら、ひとしきり暴れて満足したのか、そいつらは大声で合唱しながら、駐車していたバイクに乗ってった。 その時、冬樹が起き出したんだ。
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