2人が本棚に入れています
本棚に追加
2.ドライブ
え? 昨日の夜、冬樹とどこに行ったのかって?
ドライブだよ、ドライブ。冬樹に運転頼んだんだ。五色と錦も誘ってさ。あ? 何で俺達じゃないのかって? シュウはともかく、ハルは深夜に連れ出せないだろ。まだ高校生なんだし。
・・・え? なんか、元気がないって?
あー・・・。ちょっと、色々あってさー。
・・・良かったら、ちょっと聞いてくんない?
昨日な、運転の途中で冬樹が、「眠い」って言いだしたんだよね。ほら、アイツ眠気に弱いじゃん?
で、ちょっと仮眠取るって言って、車止めたんだ。
でもその場所が、墓地の真ん前だったんだよ。
しかもよりによって、結構その筋では有名な場所。
いや、勿論抗議したよ? でもアイツ、話を聞かないでさっさと寝ちまいやがってさ。無理に起こすとめちゃくちゃ不機嫌になるだろうし――あれはもう鬼だよな――かといって俺と錦は免許持ってないし、五色に運転させるとあやうく三途の川が見えるから、嫌々冬樹が起きるのを待つことにしたんだ。
深夜の、墓地の前で。
それから、どれくらい経った頃かな。それまで不気味なくらい静かだったのに、ふいに辺りが騒がしくなってきたんだよね。
最初は何事かと思ってビビってたんだけど、どうやらそれは、ガキ達の声みたいでさ。
車の中からそっと外を覗いてみたら、なんかいかにも頭の悪そうなやつらが、ギャーギャー騒ぎながら墓地から出くるところだったんだよ。
たぶんあれ、肝試ししてたんだろうな。高校生くらいの男女数人だった。もう、本当にうるさくてさ。冬樹が起きたらどうすんだよ! 被害に遭うのは俺なんだぞ? って、一人キレてた。五色はスマホをいじってたし、錦は一心不乱にドーナツむさぼってたけどな。肝座りすぎだろ、アイツら。
幸い、冬樹はすぐに起きなかったんだけどさ。どうかさっさとどこかに行ってくれと思いながら、そっと様子をうかがってたんだよ。そしたらさ、
あいつら、こともあろうか墓石を蹴りやがった。
流石に引いたね、ありゃあ。しかも、何個も蹴ってたんだよ。
警察に通報するべきか迷ってたら、ひとしきり暴れて満足したのか、そいつらは大声で合唱しながら、駐車していたバイクに乗ってった。
その時、冬樹が起き出したんだ。
最初のコメントを投稿しよう!