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俺はちっとも悪くないけど、必死に言い訳を探した。いや、だって本当に怖いじゃん、起こすと。
でもな、冬樹は俺を一瞥もしないで、高校生達が乗ったバイクをジッと睨みつけていたんだ。
それで、ボソリと言った。
「二」って。
何が二なのか訊こうとしたんだけど、その前に、冬樹はまた寝ちゃったんだよね。五色と錦の方はなんとなくわかったのか、「あらー」なんて言ってたけど。でも、何も教えてくれなかった。
で、俺も考えたんだよ。
もしかしてあれ、高校生達に憑いていっちゃった幽霊の数なのかなぁ、って。
俺には見えないけど、冬樹が言うならそういうことだと思わねぇ?
そん時はご愁傷様くらいは思ったけど、まあ、すぐにそいつらのことは忘れたんだよね。
その後は、冬樹も若干不機嫌ながらも起きて、ちょっとその近くをブラッとして、家に帰ってきた。
そんで今朝・・・朝刊読んでたら、この記事を見つけちゃったんだよね。
――高校生五人が、交通事故に遭った記事。
男三人に、女二人。あの時、俺が見た数と一致していた。しかもその事故現場ってのが、あいつらのバイクが向かった方面にあるんだよね。
それに・・・それに、さ。
その事故が起こったのは、冬樹が起きたあの時刻の、二時間後だったんだよ。
・・・あの時冬樹が言った、「二」ってのはさ。
あいつらに憑いた霊の数なんかじゃなくて、
あいつらに残された、時間の数だったんだな。
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