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6.怖い話をしてください ――プレゼント――
は? 怖い話? 何でそれを俺に訊く!?
あー、まあ良いけどさ。んじゃ、この間体験した話でも良い?
誕生日の時にさ、冬樹からもプレゼント貰ったんだよね。あいつも誕生日なのに変わってるだろ?
で、プレゼントが石だったんだよ。手の平サイズの、真っ赤なキレーな石。なんだっけあれ、が・・・がーね・・・。
あっ、そうそうそれそれ! ガーネットだ! お前詳しいな!
何で石? って思ったけど、まあ弟から貰ったもんだし、大切にしてたんだよな。でも、貰った日から、何か夢見が悪くて。世界に俺一人しかいない夢だったり、幽霊に首を絞められる夢だったり、もうゲンナリ。
・・・その日は特に強烈だったな。
気付くと、俺は家で一人きりだった。家の中は真っ暗で、家具の位置もわからないくらいだった。
誰か居ないのか、皆どこに行ったんだって叫びながらウロウロしてたんだけどさ。突然、誰かに口を塞がれたんだよ。
咄嗟に泥棒だと思ったね。次々に体を拘束するそいつらをなんとか振り切って、俺は必死に逃げた。でも外に逃げる前に追い詰められちまってさ。どうしよう、どうしようって思ってたら、手に何かが触れたんだよ。
手に持ってよーく目を凝らして見たら、それはバットだった。
その時、またそいつらが飛びかかってきた。俺はほぼ反射的に、その気配に向かってバットを振り下ろした。
最初は助かりたい一心でそいつらを殴り続けた。でもそのうち、段々と殴るのが楽しくなってきた。そんな自分に嫌悪感を覚えながらも、もう自分でも止められなくて、俺はそいつらが動かなくなってもバットを振り下ろし続けた。
それからどれくらい経った頃かな。急に電気がついたんだ。
足元に転がっていたのは、俺の弟達だった。
俺は絶叫と共に飛び起きた。
当然だよな。弟達を殺しちまったんだもん。
涙と震えが止まらなくて、俺は暫く体を丸めて動けずにいた。
ようやく心臓が落ち着いてきて、ふと横を見てみたら――そこに、冬樹が居たんだ。
冬樹は機嫌が良さそうに、ニコニコ笑いながら俺の顔を見ててさ。俺はあんな夢を見た後だから、また叫びそうになった。
そしたらさ、アイツ、うっとりとした顔で何て言ったと思う?
「やっぱり夏樹は、怯えた顔が一番可愛いな」だってさ。
石? もう捨てちまったよ、あんなの。
だから俺は、プレゼントは自分で指定するようにしてんの。
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