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エコー検査をしてもらって海翔が写る。
今まで1度も顔を見せてくれてない海翔。
先生は頑張ってあちこち写してくれたけどやっぱり今回もダメだった。
「ちょっと体重がまだ軽いね。でも糖尿病や高血圧が心配やから少し早めに産みたいから37週に入ったらいつ産まれてもいいように今からしっかり動いといてくれるかな」
そう言ってエコー検査は終わり、私はずっと不安だった骨盤骨折の事を切り出した。
「先生、私は2年前に骨盤骨折してるんです。それでも普通分娩で産めますか?」
「問題無いでしょう。後遺症も何もないんだったら大丈夫やから安心して良いですよ」
それを聞いて安心した。
安心したなんてものじゃなかった。
泣きそうなくらいだった。
別に帝王切開が嫌だとかじゃない。
だけど私も翔も40代での初めての二人の子供。
翔の昔の結婚生活は酷いなんて言葉で済まされないほどのものだったこともあってどうしても産まれる瞬間を一緒に味わいたかった。
翔に見せてあげたかった。
だからこそこだわったし不安だったし自分のした過ちを後悔した。
これで翔に立ち会って貰えるしこの病院だと陣痛が始まってからずっとずっと一緒に過ごせる。
何より翔の感動する姿も見たかった。
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