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全員席に着き、卒業式が始まった。
最初の挨拶辺りは正直どうでも良かった。
でも終わりに近づいてくると間に卒業生の歌が始まる。
その中の一曲が今でも忘れられない。
曲名は忘れてしまったけどとてもいい歌だった。
そして両親へ向けての感謝の言葉が始まった。
私は長年引きこもった生活もしてたし何一つ満足な子育てなんて出来てなかった。
男にもだらしない母親だった。
そんな私を嫌うことも避けることもせず側に居てくれた。
そんなことを考えながら聞いてると涙が溢れてきた。
ただただ卒業という事を喜んだり嬉しかったり頑張ったねって言ってあげられたらいいのに、今までの自分の母親ぶりを振り返って、最低な母親だった事は自分が一番わかってるからごめんねっていう気持ちも相重なって涙が止まらなくなった。
翔もうっすら涙を浮かべてた。
そうして卒業式は終わり、退場が始まろうとした時、春香のクラスが大きな声で担任の先生を呼び止めた。
「先生!1年間お世話になりました!」
一人の男子生徒が叫んだ後、全員が復唱した。
先生も驚いたのか、泣きそうになるのを必死に堪えてるのが見てわかった。
そんなサプライズをするクラスで最後の1年を過ごせたこと、そんなサプライズをしたいと生徒に思わせるほど良い担任だったという事に改めて感謝した。
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