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「おはよーございます」 「おはよー」 「おはよう」 「おはよう。今日は11時に花形商事にアポ取ってあるから、10時には会社を出るつもりで準備して。その後は─」 「はい」 営業見習い中の翼たちは、2週間ごとにローテーションをしながら先輩と同行していた。 今週の翼の担当は江布だった。 営業車の運転は翼が行い、車中で営業の仕方や得意先の情報を教わっていた。 もちろん真面目な話ばかりではない。 「咲元って彼女いるんだっけ?」 「いえ、今はいませんけど」 「今は、って事はいたんだ?」 「はい。でも入社する直前にフラれちゃいましたよ」 「へー、そうだったんだ」 何だろう? やたら江布さんの視線を感じるんだけど……。 「なあ、例のゲイの人とはどーなったんだ?」 「……別にナンにもありませんよ?」 「なんだ。つまんねーなー」 つまんねー、ってアンタは当事者じゃねーからそう言えるんだよ! 「なー咲元」 「はい」 「男同士のセックスって気持ちいいのかね?」 「はあぁっ!?」 ナニナニナニ!? ナニ言っちゃってんのこの人っ!? それまで運転に集中していた翼だったが、耳から入ってきた言葉に一気に体温が上昇した。
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