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帰社して営業報告書を記入している時だ。
翼の隣から報告書を覗き込んだ江布が「ここ違ってるよ。向こうの係長が言ったのは─」と訂正部分を指差した。
そこを「あっ、そうか」と正せば「そうそう」と翼に笑顔を向けて自分の仕事に戻っていった。
……江布さんて優しくてホント面倒見がいい先輩だよな。そーいや気にした事なかったけど、指が長くてキレイだった。
同期の女の子が言っていた。
「江布さんて優しくて女の子が好きになるタイプだよ」
確かに笑顔を向けられるとイケてる感じがする。
だけど……男なんだよなー。
いくら優しくて頼りになる先輩でも
“好き”にはならねーよなー。
指がキレイだからって繋ぎたいとは思わないし。
あの手がオレの手に重なってきたら?
ダメダメダメ。重なり合うのはキモイだろ?
「翼、好きだ」って耳許で囁かれたら?
ムリ! 鳥肌が立ってもアッチは縮こまるに違いない。
抱きしめられてキスされたら?
ダメ。ゼッタイ!
その先は考えられないし、考えたくもない。
ヤッパ男同士なんてヘンだよ。
あの人には悪いけど、会うの断る!
けど……どんな人かはガチで気になる。
オレが会わずに相手がどんなヤツか知る方法ないかな……。
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