17

5/9
前へ
/394ページ
次へ
帰社して営業報告書を記入している時だ。 翼の隣から報告書を覗き込んだ江布が「ここ違ってるよ。向こうの係長が言ったのは─」と訂正部分を指差した。 そこを「あっ、そうか」と正せば「そうそう」と翼に笑顔を向けて自分の仕事に戻っていった。 ……江布さんて優しくてホント面倒見がいい先輩だよな。そーいや気にした事なかったけど、指が長くてキレイだった。 同期の女の子が言っていた。 「江布さんて優しくて女の子が好きになるタイプだよ」 確かに笑顔を向けられるとイケてる感じがする。 だけど……男なんだよなー。 いくら優しくて頼りになる先輩でも “好き”にはならねーよなー。 指がキレイだからって繋ぎたいとは思わないし。 あの手がオレの手に重なってきたら? ダメダメダメ。重なり合うのはキモイだろ? 「翼、好きだ」って耳許で囁かれたら? ムリ! 鳥肌が立ってもアッチは縮こまるに違いない。 抱きしめられてキスされたら? ダメ。ゼッタイ! その先は考えられないし、考えたくもない。 ヤッパ男同士なんてヘンだよ。 あの人には悪いけど、会うの断る! けど……どんな人かはガチで気になる。 オレが会わずに相手がどんなヤツか知る方法ないかな……。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1045人が本棚に入れています
本棚に追加