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透の勤める会社は特殊な資材を扱う商社だ。
透は大学を卒業した後、この会社で内勤営業という職種に就いた。
頭が痛くなるほどの数の資材を覚え、客先からの納期、見積りに即対応し、更に資材の材料は何か、どう使うか、対応品は何かなど徹底的に上司から叩き込まれた。
電話での問い合わせに窮した事務職の女子社員から「少々お待ちいただけますか?ただ今詳しい者と代わりますので」とバトンタッチされたら、その後を滞りなく繋いでいき、外勤営業に橋渡しするのが彼の仕事だった。
その日は希に注文をしてくる取引会社から、公共の工事で使う資材の見積りと納期の問い合わせがあった。
しかもかなり無理な見積り依頼と納期の催促の対応に追われ、メーカーの担当者に掛け合ったり、取引会社の営業に連絡したりで、漸くパソコンに向かい見積書を打ち込み始めた時には7時を過ぎていた。
そんな時にスーツの胸ポケットに入れてあったスマホが鳴り出した。
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