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「翼君があいつの想いに応えられなくても、それは想定内のことだからね。あまり尾を引かずに諦められると思うんだ。
けど一度手に入れてしまったら、手放す時は相当苦しまなきゃいけなくなるからね。
だからあいつもそれなりの覚悟が必要になるんじゃない?」
「意味がよく……分かりません……」
翼は躊躇いがちに口を挟んだ。
「つまりね、翼君はストレートでしょ?
一度は金井と付き合ったものの、やっぱり女性の方がいいってなる可能性も」「そんなの絶対にないです!」
翼は怒りを含んだ声をあげていた。
「オレが透さんを裏切るって言うんですか!?」
「そうじゃないよ。あくまで可能性の話だから、そう興奮しないで」
鈴木は翼のグラスに目配せし、「飲みながら聞いてくれる?」と落ち着くように促した。
それを受けて翼がサワーを口にすると、鈴木はゆっくりと話し出した。
「翼君がどんなに金井を好きでも、あいつは所詮男だからね。
熱く恋している時期が過ぎた時、もし翼君の前に心を揺さぶるような女性が現れたら?
自分の子供が欲しいと思ったら?
金井は人一倍傷ついてきた分、すぐ気がつくよ。
恋人が女性を求めてるってね」
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