最終章

3/27
前へ
/394ページ
次へ
─あと3日。 この待つだけの苦しさから一刻も早く解放されたくて、早くその日が来ればいいのにと思う反面、翼を失う事も恐れていた。 この先、これほど胸を焦がすような相手に出会えるとは思えない。 その場限りを楽しむ相手なら何人もいたし、それでいいと思っていた。 だがたった一人、彼だけが己の全身全霊をかけて、ずっと愛したいと思える存在になった。 ─もう答えは出たか? もし自分が翼に惹かれさえしなければ、この先も友達として繋がっていられたかもしれない。 だが心を動かされてしまった。 絶対に期待してはいけない相手に。 惹かれてはいけない相手に。 どんなに心が近づこうと二人を隔てる壁は高すぎて、互いの手を取れずにいる。 再びストレートに恋した馬鹿な自分。 壁を前に悩み苦しんでいる翼。 遣る瀬無い気持ちは溜め息となって零れていった。 ─俺もお前も、 出会う相手を間違えたのかもしれないな。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1045人が本棚に入れています
本棚に追加