第1章

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あまり降りない駅で、ふと降りてみた。 商店街の古本屋。。。 かなり年期の入った本屋だ。 私的には普通に本屋さんが好きだけど。 ひやかしついでに何か面白い本があればと思って入ってみた。 中は静かで客は私だけだろうか。 店員も見当たらない。 別に何か探してる訳でも、絶対買う訳でもないからいいけど。 真新しい本から古く年期のはいった本、色々ある。 考えてみれば私は基本、マンガが好きだ。 しかも最近、BLにハマっている。 そう言った類の本はなさそう。 図書館にでも行けばよかったかな、最近の図書館は雑誌も漫画も置いてある。 BLはどうかわからないけど。 店を出ようと思ったその時、 奥から店員らしき男性が出て来た。 20代後半から30代位の長身のすらっとした人。 古本屋といえば、お婆さんやお爺さんというイメージなのは私だけなのかな。 もしかしたら孫の世代に交代? なんて勝手に想像しながら、軽く会釈して出ようとした。 「何かお探しでしたか?」 その人は話しかけてきた。 「ファンタジー小説を探してたのですが無かったので。」 私は咄嗟に答えてしまった。 どの口が言ったのか、そんな物探してもないし、小説を読もうと思った事すらもない。 その人が小説顔をしていたから思わず出てしまった。 小説顔って... 自分で言っておきながら何を言っているのやら。訳が分からない。 「それでしたら、こちらなどどうでしょうか。」 その人が差し出した一冊の本は、”宮沢賢治の銀河鉄道の夜”だった。 あぁ、見た事ある。教科書にも載っているやつだ。これ有名! 知ってる!読んだ事ある!ん?でもよく知らない。そういえば。 教科書に載っていたから読んだ気になっていただけだったのかもしれない。 なぜこの本なのか、本当は本なんか読んだ事ないでしょう、と 見透かされた様で恥ずかしかった。
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