君の瞳に映るもの

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君の瞳に映るもの

僕の瞳に映る君は、いつもアイツを見つめている。 アイツを想っている君はとてもキレイで、その瞳に僕が映る事はないとわかっているのに、僕は君から目が離せない。 僕とアイツは幼稚園の頃からの親友で、小学校も中学校も同じで、高校も当たり前のように同じ学校を選んで進学した。 高校の時に同じクラスになった僕たち3人は、いつも一緒にバカやって笑っていた。 高校を卒業して進む道がバラバラになっても、3人で頻繁に会う。 当たり前のように、3人で。 僕は高校生の頃から、密かに君を想っていた。 卒業式の日に君に気持ちを打ち明けようかとも思ったけれど…。 僕は知っていたんだ。 君がずっとアイツを好きだった事を。 僕には見せる事のない笑顔をアイツにだけは見せる事を。 アイツを見つめる君の瞳に僕が映る事はない。 僕のこの手に、君を抱きしめる事はできない。 だから僕は、君への想いが枯れて死んでいくまで、友達の顔をしていようと決めた。 いつものように3人で会う事になったある日。 アイツは言った。 「バイト先で彼女ができたから、これからは今までみたいに頻繁には会えないかも。」 君は、無理して笑っていた。 「そっかー、良かったね。でもちょっと寂しいな。」 帰り道、一緒に歩いている時にも、君は作り笑いを浮かべて、一生懸命僕に話し掛けた。 ……“本当はずっと好きだったんだ”って、泣けばいいのに。 僕にまで無理して笑う事なんてないのに。 それでもやっぱり、失恋した悲しみを隠すように笑う君の瞳はとてもキレイで、僕は気付かないふりをする事しか出来なかった。 不思議だけど、アイツに失恋した君が僕を選んでくれたらとは、思わない。 僕は気付いた。 アイツを想っていた君が、僕は好きだったんだと。 交わる事のない恋心が、それぞれの心の中で想い出に変わるまで…僕はきっと、君を想い続けるのだろう。 君がアイツを想っている限り、僕はきっと、君をただ見つめている。
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