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そのあまりにも真っ直ぐな視線に、青木さんも幾らか頬を染めて顔の前でパタパタと手を振る。
「あらやだっ、全然いいのよぅ!ここは誰だって入館していい場所なんだから!あっ、加瀬くんよね?!いるわよ、ホラッ!」
一人で舞い上がるようなテンションで、アッサリと俺を引き渡した。
「加瀬さん、こんにちは。」
さっき青木さんに向けたのと同じ、真っ直ぐな眼差し。
そこには、何の感情も込もっていないように見える。
「……ああ。どうも。」
それを正面から受けたくなくて、いつも通り顔を背ける。そんな俺の仕草を、どう思っているのかなんてわからない。
もしかしたら少しは傷付いているのかもしれないし、何とも思っていないのかもしれない。
何にせよ、俺はコイツのその表情を見ることなく、素っ気なく逸らしているので、判断する事が出来ないでいる。
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