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「忙しいですか?」 何を考えているのかサッパリ分からない、抑揚の少ない声で淡々と問いかけるのは、毎日同じ言葉だ。 「……いつも通りです。」 お返しみたいに、こっちも抑揚なくいつも通りの返答をする。 そうして、忙しいふりで手元の本をチェックする振りをする。 「あら、加瀬くん。その本はさっき私が返却登録したから大丈夫よ!」 そんな俺の逃げ場を簡単に塞いで、青木さんがほほほと笑う。 「……じゃあ、配架行ってきます。」 言うが早いか、ありったけの本を持って(とは言え5冊だけだった)席を立つと、本棚へと向かった。 付いてくるだろうな、とは薄々気付いていたけど。 「手伝います。」 ヌッと後ろから手が出てきて、高い位置へと戻してくれる。 聞いたことはないが、日本人の平均身長を15cmは優に超えているだろう。
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